家の任意売却とは?競売との違い、メリットや注意点、流れを解説

せっかく建てたマイホームでも、なんらかの事情で住宅ローンの返済が難しくなるリスクは誰にでもあり得ます。住宅ローンを滞納すると家が競売にかけられ、安く買われてしまう可能性がありますが、任意売却なら競売よりも高く売れます。この記事では、任意売却の概要からメリット、注意点まで詳しく解説します。

家の任意売却とは

任意売却とは住宅ローンを滞納している、または今後ローンの完済ができない見込みなどの場合に、金融機関や債権者の許可を得て不動産を売却する方法です。任意売却が認められれば、ローンを完済していない状態でも抵当権を解除してもらえます。そのため、一般市場での売却が可能となり、競売を避けられる手段となっています。

任意売却と通常売却・競売の違い

任意売却は、通常売却や競売と何が違うのでしょうか。任意売却をより理解するためにも、異なる点を把握しておいてください。

通常売却との違い

一般市場で取引できる点は共通していますが、通常売却は所有者の意思で不動産を売却できます。特に金融機関や債権者の同意は必要なく、住宅ローンを完済しているか、完済できるだけの資金があれば通常売却が可能です。また、任意売却にはタイムリミットがありますが、通常売却は売却時期や期間はもちろん、価格も自由に決められます。

競売との違い

競売は住宅ローンを滞納したことに対し、金融機関などの債権者が債権を回収できるよう行われる法的手続きです。裁判所から競売開始通知書が届くと、記載されている日付から強制的に手続きが始まり、約1週間の短期間で売却が決まります。競売のスケジュールは裁判所が決定するため引っ越し日は自由に決められず、プライバシーも保護されません。

家を任意売却するメリット

同じ住宅ローンが支払えない状況であっても、強制的に売却手続きが始まってしまう競売とは違い、任意売却には以下のようなメリットがあります。

市場価格に近い価格で売却できる

住宅ローンの支払いが滞った結果、競売にかけられてしまうと、売却価格は市場価格の約50%~70%にしかなりません。一方で、任意売却では競売のように安く買われてしまうことはなく、市場価格に近い価格での売却が可能です。ローンの残債を上回る売却価格になるケースは少ないものの、任意売却によって残債を完済しやすくなります。

所有者のプライバシーが守られる

競売では所有者の経済状況など、個人情報が公表されます。不動産も競売物件として所在地や外観などが公開されるため、周囲に競売にかけられた事実が知られてしまう可能性があります。一方で、任意売却では所有者のプライバシーは非公開です。売却活動も通常売却と同じように行われ、住宅ローンの状況を知られることはありません。

売却後にローンを分割返済できる

住宅ローン返済中の家を売却する場合、一般的にはローン残債を一括で返済することが求められます。そのため、残債以上の価格で売却できるか、返済に充てる資金を保有していないと売却ができません。一方で、任意売却は家を売ったあとにローンが残っても、分割返済できます。ただし、分割返済は金融機関と交渉したうえで、同意を得る必要があります。

家を任意売却するデメリット

任意売却はメリットばかりではなく、以下のデメリットがあることも心得ておく必要があります。

金融機関との交渉や手続きが必要

任意売却は、望んだからといって必ずできるものではありません。家を売却するためには債権者である金融機関と交渉し、同意を取りつける必要があります。たとえ同意を得られたとしても、具体的な手続きを進めるためには時間や手間がかかるうえ、通常売却とは違った法律の知識が必要になる場面も多い点がデメリットです。

信用情報に傷がつく可能性がある

任意売却に限ったことではありませんが、住宅ローンの返済を停滞させると信用情報に傷がつく可能性があります。信用情報のブラックリストに載るとローンの審査に通りにくくなったり、クレジットカードの作成が難しくなったりします。金融機関との取引に支障が生じると、生活に大きな影響をおよぼす懸念があるため注意してください。

任意売却の注意点

実際に任意売却をスムーズに実施するためには、デメリットのほかにも注意すべき以下の2点のポイントがあります。

任意売却は時間制限がある

多くの場合、任意売却ができる期間は競売開始日の前日までです。任意売却が選択肢に入るということは、すでに住宅ローンの返済が難しくなっている状況でしょう。平行して、すでに競売の準備が進められている場合も少なくありません。

債権者である金融機関に任意売却の交渉をすると、金融機関はできるだけ残債を回収しようと立ち回ります。任意売却の同意を得られたとしても、買い手がなかなか見つからなければ、最終的には競売にかけられることになります。

早く売却活動を始める

先述したように任意売却には制限時間があるため、すると決めたのならできる限り早く売却活動を始めることが重要です。買主を見つけるのはもちろん、契約から引渡まで、家の売却にはある程度の時間や手間がかかります。早めに活動を開始し、売却のための時間を確保することが大切です。早期に売却することにより、ローンの遅延損害金の負担も減らせます。

家を任意売却する流れ

早期に任意売却を行い、できるだけ高い価格で売却するためにも、任意売却の具体的な流れを把握しておきましょう。

任意売却の相談

住宅ローンが支払えないと判断したら、まずは任意売却の相談をしましょう。相談先は不動産会社や弁護士、任意売却の専門相談所などが挙げられます。任意売却は自力で金融機関と交渉するよりも、専門家と相談したうえで手続きを進めるとスムーズなため、任意売却に関する実績やノウハウがある相談所を選ぶのがポイントです。

任意売却の交渉

住宅ローンの残債がある不動産は抵当権が設定され、債権者が優先的に売却した代金から返済を受けられる権利を有しています。そのため、任意売却の期間や売却価格の決定も含め、金融機関に交渉しなくてはなりません。相談している不動産会社や弁護士、相談所があれば、そのまま交渉を任せられる場合が多いでしょう。金融機関の同意が得られれば、具体的な売却活動に進めます。

売却活動と売買契約

不動産会社との間で媒介契約を結び、通常売却と同じように広告活動を行って買い手を探してもらいます。買い手が見つかれば条件を交渉し、合意できれば売買契約の締結です。最終的に決済・引き渡しが済んで売却代金が入ってきたら、住宅ローンや不動産会社への仲介手数料などの諸費用を支払います。

ローンを完済できないことがほとんどの任意売却では、金融機関と協議して残債の返済を続けることになります。引っ越し費用については、不足していれば売却代金から捻出できる場合があるため相談してみてください。

任意売却を検討すべき状況

具体的に任意売却を検討したほうがいい状況、検討すべき状況としては、以下の3つのようなケースが挙げられます。

期限の利益の喪失予告が届いた

金融機関にもよりますが、多くは住宅ローンの返済が3か月程度滞ってしまうと「期限の利益の喪失予告」が届きます。期限の利益とは、期日が到来するまでローンを支払わなくてもよい権利のことです。その喪失予告は、ローンの返済を滞らせたことに対する最終通告を意味します。

債務者は期限の利益を喪失するとローンの一括返済を求められ、できなければ家が差し押さえられて競売に出されます。そのため、競売にかけられる前に、任意売却を検討すべきということです。

住宅ローンを払える目途が立たない

たとえ住宅ローンの返済を滞納していなかったとしても、今後支払いを続ける目途が立たない経済状況ならば、任意売却も視野に入れて検討する必要があるでしょう。病気で仕事ができなくなったり、災害やリストラで職を失ったりすれば、さらに支払いが難しくなる可能性が高まります。住宅ローンが支払えない状況のまま放置すると、いずれは家が競売にかけられます。

離婚で家を処分したい

離婚をする際、家も処分したいと考える人は少なくありません。家を夫婦の共有名義にしていたり、夫婦で連帯保証人や連帯債務者になっていたりする場合、家が残っているとトラブルの原因になることが多いからです。特にオーバーローンになる場合は、離婚時に任意売却したうえで、売却代金をローンの返済に充てることを検討すべきでしょう。

任意売却できないケース

任意売却には競売に比べてさまざまなメリットがありますが、以下の状況では利用できないため注意が必要です。

家の競売が開始している

任意売却は家が競売にかけられる前に取れる売却方法であり、すでに競売の手続きが開始してしまっているとできません。早く売却活動を進めるべきというのはそのためです。競売開始通知書が届いた時点ならば、まだ任意売却を進める余地があります。ただし、金融機関との交渉や手続きの時間を考慮すると、任意売却を決断できるリミットは競売開始までです。

金融機関の合意が得られない

任意売却は債権者である金融機関が同意してくれなければできません。同意が得られない理由はケースバイケースですが、主な理由の1つは住宅ローンを返済する能力があると判断される場合です。ほかにも、住宅ローンを組んでから1~3年程度しか経っていない、日が浅いケースも金融機関からの合意が得にくい理由として挙げられます。

所有者が税金を滞納している

家の所有者が国民の義務である税金を滞納していると、任意売却には進めません。それでも任意売却を望むのなら、まずは役所との交渉が必要です。税金支払いの目途が立つ、または役所との折り合いがつけば任意売却が可能になるものの、売却代金から納税するなど、支払いの目途がつかなければ役所の許可を得るのは難しいでしょう。

まとめ

住宅ローンの返済が難しくなった状況でも、市場価格に近い金額で家を売却できる方法が任意売却です。任意売却にはプライバシーも守られるメリットがありますが、同時にデメリットや注意すべき点もあります。

ハウスドゥは不動産の売買や活用、リフォームまで、さまざまなサービスを全国規模で展開し、そのネットワークによる宣伝力が強みです。また、地域密着で信頼性の高い査定力を持ち、不動産のプロによる対応力もあります。任意売却も含め、不動産売却を検討する際は、ぜひハウスドゥにご相談ください。

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※2 ハウスドゥは不動産売買仲介専門フランチャイズで店舗数第1位です。「ビジネスチャンス」(2023年12月22日発行-2024年2月号)より。

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