マンション売却では、譲渡費用について知っておくことが重要です。譲渡費用は、譲渡所得税の計算で必要になり、譲渡費用に含まれる費用と含まれない費用があります。本記事では、マンション売却の譲渡費用について解説します。また、譲渡益が発生した場合の注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
マンション売却と譲渡費用の関係
まずは、マンション売却と譲渡費用の関係について解説します。
譲渡費用とは
譲渡費用とは、「土地や建物を売るために直接かかった費用のこと」と定義されています。マンションの場合は、マンション売却に直接かかった費用のことです。また、マンションなどの不動産売却では、「譲渡所得税」が発生するケースもあります。
法律で定められた譲渡費用の範囲
譲渡費用の範囲は、「所得税法第33-7 譲渡費用の範囲」で定められています。
【所得税法第33-7 譲渡費用の範囲】(1)資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用(2)(1)に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用(注)譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれないことに留意する。 |
譲渡費用が重要な理由
譲渡費用がマンション売却で重要な理由は、次のとおりです。
譲渡所得税の計算に必要
まずは、譲渡所得税の計算に必要ということが挙げられます。譲渡所得税は、譲渡所得がプラスになると発生する税金です。
譲渡所得は、土地や建物を売った金額から、取得費と譲渡費用を差し引いて計算されます。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得の税率は、所得期間によって異なります。
所得期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 所得税額の2.1% | 39.63% |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 所得税額の2.1% | 20.315% |
譲渡所得の算出方法
ここからは、譲渡所得の算出方法について解説します。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の計算方法は、次のとおりです。
収入金額-(取得費+譲渡費用)- 特別控除額=課税譲渡所得金額 |
取得費とは、売却予定のマンション取得時に支払った購入費用のことです。また、譲渡費用とは、不動産売却時に支払った費用を指します。
※参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
課税譲渡所得の計算には譲渡費用が重要
課税譲渡所得を計算する際には、譲渡費用が重要な要素となります。
譲渡費用は、収入金額からマイナスできる費用であり、譲渡費用が増えるほど所得税を減らすことが可能です。しっかりと節税するためにも、譲渡所得税の計算において、譲渡費用をとりこぼさないようにしましょう。
ただし、売却経費のすべてが譲渡費用と認められるわけではない点に注意が必要です。
マンション売却で譲渡費用となる費用
節税などに重要な譲渡費用ですが、譲渡費用として扱われる費用を把握しておく必要があります。ここでは、マンション売却で譲渡費用となる費用について解説します。
仲介手数料
まずは、仲介手数料が該当します。仲介手数料とは、不動産の譲渡に関して、宅地建物取引業者に支払う成功報酬のことです。
宅地建物取引業法で定められている仲介手数料の上限額は、次のとおりです。
不動産の取引額 | 仲介手数料(消費税別) |
---|---|
200万円以下 | 取引額×5% |
200万円超から400万円以下 | 取引額×4%+2万円 |
400万円超 | 取引額×3%+6万円 |
仲介手数料については、あくまで上限額であり、実際に支払った金額が譲渡費用となります。
売買契約書の印紙税
次に、売買契約書の印紙税も譲渡費用として扱われます。
印紙税とは、不動産の譲渡で作成する売買契約書に貼る印紙にかかる税金のことです。印紙税の金額は、売買契約書に記載されている金額によって異なります。金額によって、200円から48万円と幅広いため、事前の確認が必要です。
また、令和6年3月31日までに作成された場合、軽減税額が適用されます。
立ち退き料
賃貸マンションを売却する場合、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立ち退き料も、譲渡費用に含まれます。ただし、使用貸借している親族に対する立ち退き料など、本来支払う必要がない費用は該当しません。
違約金
不動産売買において、契約後に、さらに高い金額を提示する買主が現れた場合に、旧買主に違約金を支払います。この違約金も譲渡費用として扱われます。
広告料
買主を探すために支払った広告料についても、譲渡費用に該当します。ただし、広告と関係なく売却した場合には、譲渡費用に該当しないケースもあるため、注意が必要です。
マンション売却で譲渡費用とならない費用
マンション売却にかかる費用のなかでも、譲渡費用に該当しない費用があります。
確定申告の税理士費用
マンションなどの不動産譲渡後の確定申告を、税理士に依頼するケースも多く見られます。この場合、税理士への報酬は、譲渡費用に該当しない点に注意が必要です。
抵当権抹消登記費用
マンション購入時に、住宅ローンを組む場合、抵当権が設定されていることがほとんどです。マンション売却において、住宅ローンの残債がある場合、残金の支払い完了後に抵当権の抹消手続きが必要になります。ただし、抵当権抹消登記費用は、譲渡費用に該当しません。
引っ越し費用
引っ越しにかかる費用、引っ越しに伴う室内清掃費用は、譲渡費用として扱われません。また、「運搬費」という項目は、「譲渡対象物そのものを運搬する費用」であり、引っ越し費用とは異なります。
固定資産税・都市計画税
固定資産税や都市計画税などは、不動産の維持に関する費用です。譲渡に関わる費用ではないため、譲渡費用に該当しません。
リフォーム・修繕費
資産の維持や管理のために支払った修繕費・リフォーム費用は、譲渡費用には該当しません。
ただし、買主の要請によるリフォーム・修繕の場合は、譲渡費用と認められるケースもあります。
マンション売却で譲渡益がある場合の注意点
マンション売却で、譲渡益が発生した場合、いくつかの注意点があります。
マンション売却によって発生した譲渡所得は、最大で3,000万円まで控除が可能です。ただし、投資用マンションや別荘などを売却しても、特別控除の対象とはならないため注意しましょう。また、特例を受けるためには、確定申告が必要です。
まとめ
マンション売却にかかる費用を譲渡費用といい、譲渡費用に該当する費用と該当しない費用があります。譲渡費用に該当するか否かを知らない場合、譲渡費用として計上せずに損をしてしまいます。
マンション売却では、大きな金額の移動にばかり注目しがちですが、譲渡費用などの節税につながるお金の動きもしっかりと把握しておきましょう。また、マンション売却で失敗しないためには、豊富な知識と経験を持つ不動産会社を選ぶことも重要です。
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