
「マンション売却前にリフォームすべきか悩む…費用はどれくらいかかる?」
「リフォーム費用をかけても、本当に高く売れるの?損しないか不安…」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、マンション売却でリフォームを成功させるには、費用対効果を見極める「5つの判断ポイント」と「税金の知識」が不可欠なんです。
この記事では、マンション売却時のリフォーム費用相場から、損をしないための具体的な判断ポイント5選、注意すべき税金や確定申告の方法まで詳しく解説します。
この記事のポイント
- 平均リフォーム費用434万円と費用オーバー率29.3%
- ホームステージング後は87.1%が3 か月以内に成約
- 箇所別費用相場&フルリノベ費用
- 譲渡費用に入るリフォーム/入らない修繕の境界線
目次
マンション売却にリフォームは必要か?
マンションの売却前にリフォームを行うかどうかは、多くの場合、売却戦略の重要な一部となります。リフォームが必要かどうかを判断するには、不要論とメリットを考慮する必要があります。
- データで見る売却前リフォームの実態(不要論の根拠)
- 売却前にリフォームするメリット
- 売却前にリフォームするデメリット・注意点
- 結局、リフォームはすべき?基本的な考え方
データで見る「リフォーム不要論」

参照元)一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会『2024年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書』
リフォームが不要とされる理由は、主に以下の通りです。
- 平均費用は434万円、3人に1人が予算オーバー(29.3%)※1
- 費用を回収できたのは 約4割 にとどまる(同調査)。
参照元)一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会『2024年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書』
まず、リフォーム費用が回収できない可能性があります。
地域や条件によっては、リフォームをしても売却価格が上がらない場合があり、かえって値下げを余儀なくされることもあります。
また、リフォームを前提として物件探しをする買い手も増えており、リフォームせずに価格を下げる方が買い手が見つかりやすい場合もあります。
売却前にリフォームするメリット
リフォームを行うことで得られるメリットは以下の通りです。
売却価格が高くなる可能性がある
リフォームによって、売却価格が高くなる可能性があります。
特に、築浅のマンションや、極端な汚れや破損がある場合、リフォームが効果的です。
内覧時の印象が良くなり売れやすくなる
リフォームにより、購入希望者の印象が良くなり、売れやすくなることがあります。
特に、居室全体のフルリフォームや水回りの改修は効果的です。
ホームステージング導入で87.1%※が3か月以内に成約しているというデータがあります。
※参照元)日本ホームステージング協会『ホームステージング白書2023』
売却期間が短縮される可能性がある
リフォームによって物件がより魅力的に見え、売却期間が短縮される可能性があります。
また、すぐに住める状態に整えることで、買い手が見つかりやすくなるでしょう。
ただし、マンション売却前のリフォームを行うかどうかは、物件の状態や地域の相場、築年数などによって異なります。
リフォームは不要とされる場合も多いものの、適切な状況であればメリットを得られることもあるため、具体的な判断については、不動産会社に相談してみることをおすすめします。
売却前にリフォームするデメリット・注意点
リフォームにはいくつかのデメリットもあります。
リフォーム費用がかかる(費用倒れのリスク)
リフォームには多額の費用がかかり、回収できないリスクがあります。
特に、地域の相場が低い場合には、リフォーム費用が回収できない可能性が高くなります。
リフォーム期間が必要になる
リフォームには時間がかかり、売却活動を遅らせる可能性があります。
特に、フルリフォームの場合は数ヶ月の期間が必要になることもあります。
買主の好みに合わない可能性がある
リフォーム内容が買い手の好みに合わない可能性があります。
特に、個人的なデザインや色彩の選定は買い手によって異なるため、リフォームが必ずしも効果的とは限りません。
結局、リフォームはすべき?基本的な考え方
結論として、マンションの売却前にリフォームが必要かどうかは、物件の状態や地域の相場、買い手のニーズによって異なります。
リフォームを前提としている買い手が少ない場合や、築浅の物件であればリフォームが有効かもしれませんが、一般的にはリフォーム費用が回収できないリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
不動産会社に相談し、物件の状態や地域の相場を考慮して判断することが重要です。
【費用相場】マンション売却リフォーム、どこにいくらかかる?箇所別目安
マンションの売却前にリフォームを行う際、どの箇所にどれくらいの費用がかかるかを知ることは非常に重要です。
ここでは、リフォーム箇所別の費用相場やフルリフォームの費用相場について詳しく見ていきます。
- リフォーム箇所別の費用相場一覧
- フルリフォーム・リノベーションの費用相場
- リフォーム費用を抑えるコツ
リフォーム箇所別の費用相場一覧
リフォーム箇所ごとに費用相場は異なります。以下に、具体的な箇所別の費用相場をまとめます。
キッチン
キッチンリフォームの総額は、本体価格+工事費込みで概ね60万〜150万円が中心です。
- スタンダード仕様(I型→同位置交換):60万〜120万円前後
- ハイグレード仕様(収納・設備を一新):100万〜180万円程度
「本体のみ交換」であれば30万〜50万円台も可能ですが、施主支給や DIY に近いケースが多いため、注意が必要です。
コンロ、レンジフード、食洗機など単体交換は 10万〜20万円が一般的です。
浴室(ユニットバス)
浴室のリフォーム、特にユニットバスの交換は、90万円から150万円(1216 サイズ)、120万〜170万円(1616 サイズ)が一般的です。
在来浴室からユニットバスへのリフォームは解体・配管を含め100万円から200万円と幅があります。
トイレのリフォームは、便器の交換が25万〜40万円(タンクレスは+α)、和式から洋式への変更が30万〜60万円、トイレの新設工事(配管延長含む)が50万〜80万円程度です。
洗面所
洗面化粧台+内装一式のリフォームは 20万〜40万円が一般的です。
10万円前後は化粧台単体交換(壁・床を触らないケース)の場合が多いので注意してください。
壁紙(クロス)の張り替え
量産クロスの相場はおおよそ900〜1,200円/㎡です。
例えば、床面積30㎡の居室で壁・天井面積は約90㎡の場合、張り替えの価格としては8万円~11万円が目安です。
床材(フローリングなど)の張り替え
フローリングの張り替えは、6畳(約10㎡)で 25万〜36万円が程度です。
最廉価材× DIY 的施工で15万〜20万円台でできる場合もあります。
畳の表替え・交換
畳の交換は、1畳あたり1.5万〜2万円が相場で、 6畳で9万〜12万円が一般的です。
ふすま・障子の張り替え
ふすまの張り替えは1枚 3,000〜8,000円、障子だと1枚 2,000〜5,000円のため、 6枚でおおよそ 2万〜5万円程度でしょう。
フルリフォーム・リノベーションの費用相場
フルリフォームやリノベーションの場合、マンションでは800万円から1,200万円程度が一般的です。
これは、築年数や施工範囲によって大きく変わります。リノベーションは通常のリフォームよりも大規模で、500万円以上かかることがあります。
リフォーム費用を抑えるコツ
リフォーム費用を抑えるためには、以下のポイントが重要です。
- 範囲を絞る: 必要最低限の箇所に絞ることで、費用を削減できます。
- 材料の選定: コストパフォーマンスの良い材料を選ぶことが重要です。
- 業者選び: 複数の業者から見積もりをもらい、比較することで、最適な価格を見つけることができます。
これらのポイントを考慮することで、効率的にリフォームを行い、売却価格を高めることが可能です。
損しない!マンション売却でリフォームすべきか判断する5つのポイント
マンションを売却する際、リフォームを行うかどうかは慎重に判断する必要があります。以下の5つのポイントを考慮することで、無駄な出費を避けつつ、売却価格を高めることができます。
- 築年数と物件の状態を確認する
- 周辺の競合物件と比較する
- 買主のターゲット層を考える
- リフォーム費用と売却価格上昇の見込みを試算する
- 売却までの期間と手間を考慮する
築年数と物件の状態を確認する
築年数や物件の状態はリフォームの必要性を判断する上で非常に重要です。
築浅物件の場合
築浅の物件は、リフォームが比較的簡単に効果を発揮します。
特に、汚れや小さな不具合がある場合、少額のリフォームで購入希望者の印象を良くすることができます。
築古物件の場合
築古の物件では、リフォーム費用が回収できないリスクがあります。
ただし、大規模修繕後の物件であれば、リフォームによって差別化が可能です。
明らかな不具合や故障がある場合
明らかな不具合や故障がある場合、最低限の修理は必要です。
購入希望者にとってネガティブな印象を与えないため、必須の対策となります。
ポイント2:周辺の競合物件と比較する
競合物件の調査は、自分の物件の価格設定や差別化戦略に役立ちます。
競合物件が多い場合は、差別化が重要です。
ポイント3:買主のターゲット層を考える
買主のターゲット層によって、リフォームの必要性が変わることがあります。
ファミリー層向け?単身者向け?
ファミリー層向けの場合、広さや子ども部屋の有無が重要です。
一方、単身者向けの場合は利便性やセキュリティが重視されます。
購入後に自分でリフォームしたい層?
購入後に自分でリフォームしたい層は、リフォーム済みの物件よりも価格が安い物件を選ぶことがあります。
その場合、リフォームを前提としている買い手にはリフォームしない方が良い場合もあります。
リフォーム費用と売却価格上昇の見込みを試算する
リフォーム費用と売却価格上昇の見込みを試算することで、費用対効果を判断できます。
リフォーム費用が回収できないリスクがある場合は、慎重な判断が必要です。
売却までの期間と手間を考慮する
リフォームには時間がかかり、売却活動を遅らせる可能性があります。売却までの期間や手間を考慮し、リフォームが必要かどうかを判断することが重要です。
結論として、マンションの売却前にリフォームを行うかどうかは、築年数や物件の状態、競合物件、ターゲット層、リフォーム費用と売却価格の見込み、売却までの期間などを総合的に考慮する必要があります。慎重な判断と計画が成功した売却をサポートします。
【税金・確定申告】マンション売却時のリフォーム費用、経費計上の注意点
マンション売却時にリフォーム費用が経費として認められるかどうかは、リフォームの目的や内容によって異なります。ここでは、リフォーム費用が経費になる条件や確定申告の手続きについて詳しく見ていきます。
- 売却時のリフォーム費用は経費になる?譲渡費用と取得費の違い
- 確定申告で必要な書類と手続きの流れ
- 税金に関する注意点と相談先
売却時のリフォーム費用は経費になる?譲渡費用と取得費の違い
リフォーム費用は、売却目的か所有時の改良かによって「譲渡費用」や「取得費」に分類されます。
譲渡費用として認められるケース
売却を目的としたリフォーム費用は、「譲渡費用」として認められる場合があり、例えば、早期売却のために行ったリフォームなどがこれに該当します。
この譲渡費用は、譲渡所得の計算において費用として計上できるため、譲渡所得税の負担を軽減する効果が期待できます。
取得費として加算されるケース
所有期間中に行ったリフォームが「取得費」として加算される場合があり、これは、マンションの価値を高めるような改良に限られます。
取得費は減価償却が可能で、売却時に取得費として認められます。
修繕費扱いになるケース(経費にならない場合)
単なる修繕や維持のためのリフォーム費用は、修繕費として扱われます。
この場合、譲渡所得の費用として認められず、経費としても全額計上できないことがあります。
確定申告で必要な書類と手続きの流れ
マンション売却時に確定申告が必要な場合、以下の書類や手続きが必要です。
- 譲渡所得の計算書類: 売却価格、取得費、譲渡費用を記載します。
- 領収書や請求書: リフォーム費用や仲介手数料などの領収書が必要です。
- 確定申告書: 税金計算に必要な情報を記入します。
手続きは、国税庁の公式サイトで確認できる手続きに従い、必要な書類を準備して提出します。
税金に関する注意点と相談先
税金に関する注意点として、リフォーム費用がどの項目に含まれるかを正確に把握することが重要です。
また、税理士に相談することで、特例や節税方法を利用することができます。
マンション売却時のリフォーム費用は、売却目的や改良内容によって経費として認められるかが異なるため、確定申告の際には正確な書類整理と手続きが必要であり、必要に応じて税理士に相談するのも良いでしょう。
リフォームしない場合のマンション売却戦略
マンションを売却する際、リフォームを行わずに現状のまま売り出す方法もあります。この方法にはメリットとデメリットがあり、また、ホームステージングや不動産買取という選択肢も検討できます。
- 現状のまま売り出すメリット・デメリット
- ホームステージングで印象アップを図る
- 不動産買取という選択肢も検討する
以下に詳しく見ていきましょう。
現状のまま売り出すメリット・デメリット
現状のまま売り出す方法には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
リフォームなしでマンションを売却する場合のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
費用削減: リフォーム費用がかからないため、不要な出費を抑えられる。 |
売却価格の低下: リフォームせずに売却することで、売却価格が低くなる可能性がある。 |
迅速な売却開始: リフォームにかかる時間がなく、すぐに売却活動を開始できる。 |
購入者の好みに合わない: 物件の状態が購入者の好みに合わない場合、売却が難しくなることがある。 |
ホームステージングで印象アップを図る

出典)ホームステージング白書 2023年白書
ホームステージングを行うことで、売却価格が高くなる可能性があり、さらに売却期間も短縮されます。
例えば、売却期間の短縮効果については、日本ホームステージング協会の調査報告(2023年白書)で、ホームステージング後、成約までの平均期間は、約9割が3ヶ月以内で成約しているというデータがあります。
具体的には、家具やインテリアを配置して居住感を演出し、費用は10万円程度ですが、効果的な場合にはその費用以上の利益が得られることがあります。
不動産買取という選択肢も検討する
不動産買取は、リフォームせずに迅速に売却する方法の一つです。
買取再販業者に売却することで、リフォーム費用や時間をかけずに売却できるメリットがあります。
ただし、買取価格は市場価格よりも低くなる可能性があるので、注意が必要です。
リフォームせずに売却する場合には、ホームステージングや不動産買取などを利用して、売却戦略を強化することが可能です。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、最適な方法を選択することが重要です。
まとめ
マンション売却前のリフォームは、費用対効果の見極めが重要です。
メリット(価格上昇、内覧印象向上、売却期間短縮)とデメリット(費用倒れリスク、リフォーム期間、買主の好みとの不一致)を考慮し、築年数・物件状態、競合物件、ターゲット層、費用対効果試算、売却までの期間・手間の5点で判断しましょう。
箇所別リフォーム費用相場(キッチン30万円〜、浴室80万円〜等)を把握し、範囲を絞るのが費用抑制のコツです。売却目的のリフォーム費用は譲渡費用として経費計上できる場合があり、確定申告が必要です。税理士への相談も有効です。
リフォームしない場合は、現状のまま売り出すほか、ホームステージング(費用10万円程度〜)による印象アップや、不動産買取業者への売却も検討できます。
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