
マンションから一軒家への住み替えを検討している方もいらっしゃるでしょう。ただ、マンションから一軒家への住み替えにはメリットだけでなくデメリットもあります。また、住み替えのタイミングや手順、売却や購入時には注意が必要です。この記事では一軒家を購入する際のポイントを解説し、検討中の人に役立つ情報を提供します。
目次
マンションから一軒家へ住み替えるメリット
マンションから一軒家へ住み替えるメリットは以下の5つです。
住居が広くなる
一軒家は、広い居住スペースと部屋数が利点です。また、2階もあると部屋が増えます。とくに、注文住宅では自由な間取りや設備を選択でき、自分の理想を形にできるでしょう。一軒家への住み替えにより、窮屈な空間から解放され、自由な暮らしが実現します。
騒音・振動のストレスが減る
マンションでは周囲からの騒音や振動にストレスを感じ、上下左右の住人へ気を配る必要もあります。しかし一軒家では近隣との距離があるため、音漏れを気にする必要がありません。子どもたちが自由に遊べる空間を手に入れ、家族全員が快適に過ごせる環境を実現できるでしょう。
ランニングコスト(管理費・修繕積立金)がない
マンションには、管理費や修繕積立金、駐車場代や駐輪場代など(毎月約4〜5万円)毎月の維持費がかかります。一方、一軒家ではこれらの費用負担がなくなるため、月々の支払いが安くなるでしょう。
同じ住宅ローンの支払額では、一軒家の方が月々のランニングコストが抑えられます。
管理規約などに縛られない
マンションは、リフォームやペットの飼育、玄関前の利用方法など、管理規約によって定められています。
一軒家では、規約による制限がないため、自分らしい暮らしが可能です。
土地が所有物となる
一軒家は、建物と土地をセットで購入し、最後には土地が残ります。残った土地は経年による価値の低下が少なく、将来的に資産価値を保ちます。
もし、一軒家の価値がゼロになったときも、土地だけの売却が可能です。また、土地活用の柔軟性も高く、将来の用途変更や子や孫への財産の相続も考えられます。
マンションから一軒家へ住み替えるデメリット
マンションから一軒家へ住み替えるデメリットは次の2つです。
セキュリティや防災対策が弱い
マンションでは防犯カメラや管理会社の対策がありますが、一軒家は、外部からの影響を受けやすく、火災や地震、水害などの災害でもダメージを受けやすい傾向があります。
実際、一軒家は犯罪に巻き込まれるケースもあり、入居後はセキュリティ対策の強化が重要です。
修繕など管理は自己責任
修繕などの管理が自己責任になることもデメリットです。マンションでは積立金があるため、新たな出費が少ないのに対し、一軒家では、家の修繕を自分で手配・実行する必要があります。修繕費用も積み立てておかねばならず、壊れた場合は全て費用を負担しなければなりません。
また、管理規約がないため、近隣トラブル時には自分たちで解決を求められることもあります。
マンションから一軒家に住み替える主なタイミング例
マンションから一軒家に住み替える主なタイミングの例を2つ紹介します。
両親との同居
両親との同居は、家族の増員や介護の観点から一軒家への住み替えを検討するタイミングの1つです。たとえば、3LDKのマンションでは手狭に感じ、より広い4LDKの一軒家への移動を検討するケースがあります。
また、両親の介護を家族で支え合うため、二世帯住宅への移行も一般的です。同居を考える際には、家族構成や生活ニーズを考慮し、十分なスペースや機能性を持つ物件を選ぶことが大切です。
子どもの出産・成長
子どもの出産後、騒音が気になり始めたため、音に配慮した郊外の一軒家を購入するケースがあります。第二子の誕生後は、子どもたちがのびのび遊べるスペースや収納が求められ、第一子が幼稚園に入園するタイミングで一軒家を検討するケースもあるでしょう。
また、子どもたちが成長し個室を望むようになれば、広さと部屋数を重視して住まいを変えるケースもあります。将来のライフスタイルを考え、家族構成や個々の要望に応じて適切な物件を見つけることが重要です。
住宅の住み替えで活用できる税金特例
マンションの売却と一軒家の購入時には、住宅ローン控除と「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(譲渡損失の買換え特例)」の両方を活用できます。住宅ローン控除は、支払うローンの利子が所得税から差し引かれるため、節税効果があります。
また、「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(譲渡損失の買換え特例)」は、前の住宅の売却に伴う損失を次の住宅の取得費用に充当し、所得税を軽減できる特例です。
マンション売却と一軒家購入の注意点
マンション売却と一軒家購入の注意点は下記の3つです。
ローン残債があっても一軒家へ住み替えできるかどうか
マンション売却時に住宅ローンの残債がある場合、一軒家への移り替えは抵当権の抹消が必要です。抵当権の抹消にはローンの完済が条件となります。
残債の返済方法は、自己資金または売却代金を用いることです。もし売却代金だけでは完済できない場合は、「住み替えローン」の検討も視野に入れておきましょう。ただし、「住み替えローン」の利用には追加の審査や手続きが伴います。
一軒家への住み替えにかかる諸費用はどのくらい必要か
マンション売却時には仲介手数料、印紙税、抵当権抹消費用、譲渡所得税など売却価格の4〜5%などの費用が必要です。
一方、一軒家購入では住宅の種類によって異なります。土地は仲介手数料や不動産取得税などの必要経費として物件価格の5%程度、注文住宅は工事費用の3〜6%、建売住宅は物件価格の6〜9%、中古住宅も同様に6〜9%が必要です。
売却と購入はどちらを先にするべきか
マンションを売却してから一軒家を購入する「売り先行」がおすすめです。売却後に購入することで、住宅ローンの二重支払いを防ぎ、マンションの売却価格次第で購入価格を計画できます。ただし、仮住まいが必要になるデメリットもあります。
マンション売却開始から契約締結までのスケジュール
準備書類を準備したあとは、スケジュールを確認しておきましょう。
マンション売却から契約締結までのスケジュールは、次のとおりです。
複数の不動産会社に査定を依頼
まずは、売り出し価格を決定するため、不動産会社に査定を依頼し、見積りを出してもらいましょう。査定を依頼する際は、1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼し、それぞれの査定価格を比較することが重要です。
不動産会社と媒介や仲介の契約を締結
次に、不動産会社と媒介、仲介の契約を締結します。
不動産取引における「媒介」とは、売主と買主の間に入って契約を成立させることで、不動産売却で使用される言葉です。一方、「仲介」とは売主と買主の間に入って双方の契約をさせることを指し、売却・購入のどちらの依頼でも使用されます。
不動産会社と結ぶ媒介契約には、次の3種類があります。
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
- 一般媒介契約
契約の期間や業務状況の報告間隔などに違いがありますが、契約を結べる不動産会社の数が異なる点がポイントです。一般媒介契約以外では、1社のみとなっているため、自身に適した契約方法を選びましょう。
物件を売り出す
実際に、マンションを売りに出す段階です。不動産会社と媒介契約を締結しておくと、売主に代わって営業活動を行ってくれるため、忙しい人でも安心して売却を進められます。
不動産売買契約を結ぶ
買主が見つかったら、不動産売買契約を交わします。売買契約を無事締結したあとは、引越し作業に移行します。
引越し予定の約2か月前から引越し先を探しておく
引越し先の物件探しは、引越し希望日の2か月前を目安に始めておきましょう。ただし、1月~3月に物件を探す場合は、注意が必要です。
1月~3月は、不動産会社にとって繁忙期であり、じっくりと物件探しをする場合は避けることをおすすめします。
マンションの売買契約締結から引越し完了までのスケジュール
ここからは、マンションの売買契約締結から引越し完了までのスケジュールについて解説します。
- 住宅ローンの借入先にマンション引き渡し日を連絡
- マンション売買対象外の設備を撤去
- インフラや各種サービスの解約
- マンションの管理組合へ連絡
- 引越し先に移る準備
- マンションの清掃
- 除票住民票の取得
- 売買契約締結後に見つかった瑕疵の修繕
- マンション引き渡し前の立会い
- マンション引き渡し手続き
住宅ローンの借入先にマンション引き渡し日を連絡
売買契約を締結したあと、住宅ローンを借りている銀行に、マンションを売却する旨を連絡しましょう。また、引き越しの日時と場所が確定したら、同様に連絡する必要があります。
マンション売買対象外の設備を撤去
マンションの売買対象に含まれない設備は、撤去する必要があります。撤去する際は、売却前に記載した付帯設備表を確認しておきましょう。
インフラや各種サービスの解約
ガスや水道、電気などのインフラの解約を行います。また、駐車場などの各種サービスの解約も忘れがちなため、しっかりと確認しておきましょう。
マンションの管理組合へ連絡
マンションの管理組合に、区分所有者の変更届を提出します。届出書の書式や提出方法は、管理組合によって異なるため、事前に連絡して確認しておくことをおすすめします。
引越し先に移る準備
引越し先の物件とスケジュールが決まったら、事前にインフラ開栓や各種サービスの住所変更を行っておきましょう。後回しにしてしまうと、引越しが終わったあとの生活に影響があります。引越し初日から、問題なく生活ができるように準備しておくことが大切です。
マンションの清掃
マンションの清掃は、必ず実施しましょう。引越しの際に、ゴミや不用品が残っている場合、後々のトラブルにつながる恐れがあります。
除票住民票の取得
引越しによって、現在住んでいる市町村から出る場合は、役場で除票住民票を取得しておきましょう。
除票住民票とは、転出や死亡などによって除かれた住民票を指します。除票住民票は、住んでいたことの証明や住民登録する前後の住所地の証明、もしくは、死亡していることを証明する場合に使用します。
売買契約締結後に見つかった瑕疵の修繕
売買契約の際に見つからなかった瑕疵が、後になって発見された場合、契約の内容と異なる物件を売却することになります。
発見した瑕疵を放置したまま売却した場合、契約不適合責任を追及される恐れがあります。売買契約を締結後に瑕疵を発見した場合は、必ず修繕しておきましょう。
マンション引き渡し前の立会い
物件の引き渡し前には、買主と立会い確認を実施します。立会いでは、付帯設備表で記載されている内容と相違がないかを確認します。
マンション引き渡し手続き
立会いに問題がなければ、売買代金の残代金受領と登記申請を行います。スムーズな手続きとなるように、必要な書類を事前に揃えておきましょう。
引越し先で必要な手続きや作業4選
マンション売却だけでなく、引越し先でもいくつかの手続きが必要です。
ここからは、引越し先で必要な4つの手続きをご紹介します。
事務手続き
まずは、役場での手続きや届け出が必要です。また、クレジットカードや銀行の事務手続きも忘れずに実施しましょう。
役場での事務手続きは、次のとおりです。
- 転入届
- マイナンバーカードの住所変更
- 印鑑登録
また、電気や水道、ガスなどのライフライン関連手続きも必要です。インターネットを利用する場合は、使用できるようになるまでに時間がかかることを考慮しましょう。
写真撮影
原状回復や修繕をする際のトラブルを避けるために、入居時の建物の状態を写真で記録しておくことをおすすめします。
写真撮影しておく場所は、次のとおりです。
- 壁や床
- 水回り
- 設備機器(エアコン、ガスコンロなど)
- 開口部(窓や窓枠、サッシなど)
- 外観(室外機や換気口、ポストなど)
生活用品の購入や配置
必要な生活用品を購入し、新居に配置しましょう。
家具や家電など、最初は最低限必要なものをそろえます。一気に全部揃えるのではなく、必要と感じるものから徐々にそろえることがポイントです。
新居の掃除や保護
大型の家具などを運び込む前に、新居の掃除を行いましょう。また、掃除に併せて害虫や汚れへの対策や、瑕疵対策を行っておくと原状回復などに役立ちます。
引越しにかかる費用の目安
引越し費用は運ぶ荷物の量にもよりますが、1人の場合、4万円から5万円程度が一般的です。3人家族の場合には、8万円程度を目安に準備しておきましょう。
引越し費用が高くなる例3選
引越し費用は、場合によっては高くなるケースがあります。
ここでは、引越し費用が高くなる例を3つご紹介します。
大きな荷物や特殊な物品の輸送を頼む
大きな荷物や特殊な物品を新居に輸送する場合は、基礎運賃に加算して、追加料金が発生します。引越し費用を抑えたい場合は、新居に移す荷物の内容をよく検討する必要があります。
移動距離が遠い
引越し距離が100kmを超える場合、追加料金が発生します。引越し距離が100km以内であっても、基礎時間を超えた場合は、追加料金が発生します。
引越し時期が3月頃
3月頃は、新社会人や新大学生の引越し需要が高くなります。また、部屋探しをする人が一気に増え、引越し料金が高くなる恐れがあります。
引越し業者の繁忙期は、引越し費用を抑えることは困難なため、避けることをおすすめします。
マンション売却と引越しに関する注意点2つ
マンション売却から引越しまでの流れで、知っておくべき注意点が2つあります。
買主から契約解除されるリスク
引越し途中や引越しのあとに、ローン特約や買換え特約による解除、手つき解除などをされる恐れがあります。特に、ローン特約による解除の場合、手付金を全額返還する必要があるため、注意が必要です。
マンション引き渡しと引越しの時期がずれる可能性
マンションの引越し日までに、新居が見つからない場合、住む場所に困るといったリスクがあります。このようなトラブルを避けるためにも、売却から引越し完了までのスケジュールをよく検討しておきましょう。
マンション引き渡しと引越しの時期がずれた場合の対処法2つ
マンションの引き渡しと引越しの時期がずれてしまった場合の対処法は、次のとおりです。
引き渡し猶予期間中に新居へ引っ越す
マンションの引き渡しは、引き渡し時期に関する特約を利用することで、引越しまで待ってもらうことが可能です。ただし、引越し猶予は、買主の同意が必要になります。
引越し完了まで賃貸物件へ転居する
買主から引越し猶予に対して同意が得られなかった場合は、マンスリーマンションやホテルを利用することも検討しましょう。荷物に関しては、一時預かりサービスや貸倉庫などが活用できます。
まとめ
マンションを売却して引越しする場合、売却に関する手続きと新居への引越し手続きの両方が必要です。後々のトラブルを避けるためにも、しっかりとしたスケジュール管理が重要となります。
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