
住宅ローンの繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。それぞれ毎月の返済額や総返済額を減らす効果があるため、金銭的に余裕があれば積極的に活用することが望ましいです。
しかし、繰り上げ返済を実施する前に、それぞれのタイプの特徴を把握しておくことが大切です。この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済について解説するので、参考にしてみてください。
目次
住宅ローンの繰り上げ返済とは
通常の住宅ローンは、毎月決められた額を返済します。しかし、住宅ローンの繰り上げ返済では、ローンの残高の一部または全額を予定よりも早く返済可能です。
また、住宅ローンの繰り上げ返済は2種類あります。それぞれ返済期間短縮型と返済額軽減型です。上記の返済方法に関する詳しい内容は後ほど解説しているので、そちらも参考にしてみてください。
住宅ローンの繰り上げ返済に適したタイミング
繰り上げ返済は、家族のライフイベントや資金状況を考慮して実施しましょう。また、繰り上げ返済は早い段階で実施すると、高い利息軽減効果が期待できます。
なぜなら、利息額は元金の額を基準としている他、支払い期間が短くなるほど合計の利息額は減るからです。以下では、繰り上げ返済に向いている2つのケースを解説します。
住宅ローン控除の期間が終了している
住宅ローン控除の期間が終了していたら、繰り上げ返済の実施がおすすめです。住宅ローン控除とは、年末のローン残高の0.7%が所得税と住民税から戻ってくる制度です。そのため、ローン残高が多い状態の方が、戻ってくる金額も大きくなります。
しかし、住宅ローン控除を利用できる期間は最大でも13年です。住宅ローン控除の期間が終了したら、繰り上げ返済でローン残高を減らして利息の減額を目指しましょう。
住宅ローンのストレスを軽減したい
住宅ローンのストレスを軽減したいと考えたときは、繰り上げ返済を実施しましょう。金額の大きい住宅ローンは、金銭的な面に限らず精神的にも負担がかかります。
繰り上げ返済によってローン残高が減れば、支払う利息の合計額も減ります。負債が少なくなっていることも実感しやすいため、気持ちを楽にしたければ早めの繰り上げ返済がおすすめです。
住宅ローンの繰り上げ返済の種類
住宅ローンの繰り上げ返済の種類は、返済期間短縮型と返済額軽減型の2つです。ここからは、それぞれの種類の詳細と返済の具体例について解説します。
返済期間短縮型
返済期間短縮型は、毎月の返済額を一定にしつつ、完済までの期間を短く設定する方法です。たとえば、本来20年のローンが1年分短縮されて19年になる、などがあります。返済期間が短くなるため、従来よりも利息を軽減可能です。
借入期間を短くして定年までに支払いを終えたい場合や、老後の生活資金に影響を出したくない場合におすすめです。
返済額軽減型
返済額軽減型は、返済期間が変わらない一方、毎月の返済額を軽減可能です。たとえば、毎月8万円だった返済額が7万円になる、などです。
変動金利や固定期間選択型で住宅ローンを契約している場合、将来的に金利が上昇することも考えられます。しかし、返済額軽減型に変更すれば月々の返済額を減らせるので、金銭的な負担が増えることを避けやすいです。
住宅ローンの繰り上げ返済をするメリット
住宅ローンの繰り上げ返済によって得られるメリットは多くあります。以下は、住宅ローンの繰り上げ返済における代表的なメリットと、それぞれの詳細です。
利息の支払いを軽減できる
利息の支払いを軽減できることが、住宅ローンを繰り上げ返済するメリットとして挙げられます。繰り上げ返済をすれば元本が減り、ローン残高の額も減少します。
利息の額はローン残高を基準として決まるため、繰り上げ返済を実施すれば支払う利息の総額を軽減可能です。
返済期間を短縮できる
住宅ローンを繰り上げ返済するメリットの1つが、返済期間を短縮できることです。繰り上げ返済によって元本が早期に減れば、その分だけ返済期間も短くなります。
ローンを完済するまでの期間が短縮されれば、将来的に支払う利息の総額も減り、金銭的な負担を少なくできます。
住宅ローンの繰り上げ返済をするデメリット
住宅ローンの繰り上げ返済には、いくつかデメリットもあるため注意が必要です。ここからは、住宅ローンの繰り上げ返済における具体的なデメリットや、それぞれの詳細について解説します。
資金不足のリスク
繰り上げ返済を実施するには、手元に一定の資金を用意することが求められます。しかし、ライフイベントや急な出費に備えるためにも資金は必要です。
そのため、手元に余剰資金がない場合は、繰り上げ返済を実施することが難しくなります。また、資金に余裕がない状態で無理矢理繰り上げ返済をしてしまうと、生活費が足りない事態にも陥りかねません。
違約金や手数料が発生する場合も
住宅ローンの繰り上げ返済を実施しようとすると、違約金や手数料が発生する場合があるため注意しましょう。
違約金や手数料は、一部の住宅ローン契約において発生します。これらの追加費用がかかると、繰り上げ返済によるメリットが失われてしまいます。
住宅ローンの繰り上げ返済をするべきか判断するポイント
利息の支払い軽減や返済期間の短縮など、住宅ローンの繰り上げ返済によるメリットは多くあります。しかし、必ずしも実施すればよい訳ではありません。住宅ローンの繰り上げ返済をするべきか判断するためのポイントは、以下の通りです。
手元の資金は十分にあるか
住宅ローンの返済額は、収入の変動に左右されません。そのため、収入が多い状態なら問題ありませんが、収入が少なくなると返済の負担が大きく感じられます。
繰り上げ返済を実施する際は収入が減るリスクを考慮して、あらかじめ十分な資金を残しておくことが重要です。
定年退職までに完済できるか
住宅ローンは定年退職までに完済しましょう。定年退職後は収入が年金のみになりやすく、返済の負担が大きくなるからです。
また、退職金を繰り上げ返済に充てる場合、老後の生活費が不足する可能性もあります。老後も住宅ローンの返済を続ける予定なら、期間短縮型の繰り上げ返済で退職前に完済する方向に切り替えることがおすすめです。
住宅ローンの繰り上げ返済をする際の注意点
住宅ローンの繰り上げ返済をする際は、いくつか注意するべき点もあります。ここからは、住宅ローンの繰り上げ返済における具体的な注意点と、それぞれの詳細を解説します。
住宅ローン控除が適用されないケースがある
住宅ローン控除が適用されないケースがあるため、注意が必要です。住宅ローン控除を受けるには、住宅ローン返済の期間が10年以上でなければなりません。
そのため、繰り上げ返済により返済期間が10年未満になってしまうと、控除の対象外になります。利息負担額の軽減だけでなく、控除総額も考慮して繰り上げ返済の実施を検討しましょう。
金利が低い場合は利息軽減効果も小さい
繰り上げ返済のメリットは、支払い利息が軽減されることです。しかし、現在は低金利の住宅ローンが一般的になっています。
特に、金利が1%を下回るような住宅ローンでは、利息軽減効果も大きくありません。繰り上げ返済できるだけの資金があれば、投資や運用など別の方法で活用することも検討しましょう。
家計への影響を必ず考慮する
利息の負担を軽減して最終的な支払額を減らせることは、繰り上げ返済における代表的なメリットです。しかし、繰り上げ返済を優先した結果、家計に悪影響が出る可能性もあります。
生活費が足りなくなったり、急な出費に対応できなくなったりしないように、慎重に見通しを立てることが重要です。
まとめ
住宅ローンの繰り上げ返済の概要や実施に適したタイミング、繰り上げ返済するメリット・デメリットなどを解説してきました。
住宅ローンを返して同じ場所に住み続けることもありますが、ライフスタイルの変化に合わせて住む場所を変えるのも選択肢の1つです。その際は、家を売却して住宅ローンを完済したり、新たな生活の資金を確保したりする必要があります。
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