土地や建物などの固定資産を所有していれば、固定資産税を支払う必要があります。土地のみを所有しており、固定資産税の相場が気になる人もいるでしょう。この記事では、土地のみにかかる固定資産税の相場について解説します。固定資産税の計算方法や安く抑えるためのコツについても解説するため、ぜひ役立ててください。
目次
土地の固定資産税の決まり方とは
土地の固定資産税は、どのように決定されるのでしょうか。以下で解説します。
固定資産税は土地の所有者に課税される
固定資産税は建物だけでなく、土地にもかかります。そのため、土地のみを所有している場合でも支払う必要があります。固定資産税を支払うタイミングは年1回です。1月1日時点の固定資産の所有者に対し、1年分の固定資産税が課税されます。納税証明書が送付される時期は、5~6月頃です。年の途中で土地を売却して所有者が変わった場合は、所有期間にもとづいて当事者同士で精算します。
固定資産税の額は市区町村が決める
固定資産税の額は、土地の評価額をもとに計算される仕組みです。東京都23区内以外は市区町村、東京都23区内は都が土地の評価額を決定します。それぞれ別の自治体が管轄しているため、制度が微妙に異なります。ただし、評価額はずっと同じではありません。3年ごとに見直しが行われています。
なお、地価が高いエリアについては、土地の固定資産税の額が相場よりも高い傾向があります。
土地のみの固定資産税の相場とは?
固定資産税は、市区町村が定める固定資産税評価額によって異なります。土地に建物が建っていれば軽減措置が適用され、固定資産税が安くなります。しかし、土地のみなら軽減措置を適用できません。そのため、建物が建っている土地にかかる固定資産税と、土地のみにかかる固定資産税を比較すると、土地のみの方が高めになります。
土地のみの固定資産税の計算方法を解説
土地のみの固定資産税の計算は、どのように行うのでしょうか。以下で詳しく解説します。
まずは固定資産税評価額を確認する
最初に、固定資産税評価額を把握しましょう。固定資産税評価額は、一般的に時価の70%前後となっています。実際に市区町村が定めた固定資産税評価額を調べることも可能です。納税通知書の課税明細書を確認すると、固定資産税評価額が記載されています。手元に課税証明書がない場合は、市区町村の役場に出向いて固定資産税評価証明書を取得しましょう。
また、固定資産税評価額は、固定資産税路線価をもとに計算する方法もあります。路線価とは、主要な道路に面している土地の価値を表すものです。路線価は土地1平方メートルあたりの価値を示しており、国税庁の路線価図から調べられます。固定資産税評価額の計算式は「路線価×土地の面積」です。
課税標準額を計算する
課税標準額とは、税金の軽減を考慮したうえで課税の基準となる金額のことです。農地以外の土地で建物が建っていない場合の課税標準額は「固定資産税評価額×0.7」で計算できます。ただし、条例によっては上限が別途定められている可能性もあり、注意が必要です。建物が建っている場合はさらに税の軽減措置があります。詳しくは後述します。
固定資産税を計算する
固定資産税は「課税標準額×税率」で計算できます。固定資産税の税率は、基本的に1.4%です。ただし、市区町村によっては異なる税率が設定されている場合もあるため、確認が必要です。
また、なかには固定資産税とともに都市計画税がかかる地域もあります。都市計画税の税率は基本的に0.4%ですが、市区町村によって個別の税率が定められている可能性もあります。
土地の固定資産税を安く抑える方法とは
土地の固定資産税を安く抑えるには、どうすればよいのでしょうか。以下で詳しく解説します。
建物を建てる
建物が建っている土地には軽減税率が適用され、固定資産税が大幅に安くなります。軽減税率の対象には固定資産税だけでなく、都市計画税も含まれています。よって、固定資産税は、土地のみの状態で所有し続けるよりも、建物を建てた方が安くなる可能性が高いです。
賃貸物件を建設する
軽減税率は土地に賃貸物件を建設した場合も対象となります。ただ建物を建てるのではなく賃貸物件を建設すれば、賃貸収入を得られます。賃貸収入から固定資産税の支払いをすることも可能です。また、土地に賃貸物件が建っていると、相続の際の評価額も抑えられます。
更地のまま土地活用する
更地の状態のまま土地活用して収入を確保し、固定資産税の支払いに充てる方法もあります。たとえば、駐車場や貸し倉庫などの運営なら、建物を建てなくても土地活用により収入を得られます。更地のままできる土地活用は初期費用も安い傾向があるため、始める際も負担があまりありません。
分筆する
分筆とは、土地を分けることです。分筆して土地の形状が不整形地になった場合、不整形地評価減の適用を受けられます。たとえば、1つの土地を2つに分けて片方が旗竿地になれば、不整形地評価減が適用される可能性が高いです。固定資産税評価額も下がるため、固定資産税が安くなります。
土地を売却する
そもそも土地が不要で持て余しているなら、売却も選択肢の1つです。土地を売却して所有権がなくなれば、固定資産税を負担する必要もなくなります。土地を管理するためのコストや手間もかからなくなります。なお、土地を売却すれば、代金としてまとまった現金を得られる場合が多いです。
土地の固定資産税に関わる控除や特例を解説
土地の固定資産税に対しては、控除や特例などもあります。以下で詳しく解説します。
住宅用地の特例
土地に住むための建物があれば住宅用地の特例が適用され、土地の固定資産税が安くなります。住宅用地の特例では、土地の広さに応じて軽減の割合が定められています。まとめると以下のとおりです。
土地の広さ | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
200平方メートル以下の部分 | 1/6 | 1/3 |
200平方メートル超の部分 | 1/3 | 2/3 |
なお、新築の建物については、建物の固定資産税も安くなります。
農地課税
土地の種類によって固定資産税の額は異なり、住宅用地よりも農地の方が税額を抑えられます。そのため、農地転用により地目を農地に変更すると、住宅用地のまま所有する場合よりも固定資産税を安くできます。実際にどの程度の節税になるかは土地によるため、よく確認しましょう。
ただし、農地転用すれば、その土地は農業に関連する用途でしか利用できなくなります。住むための建物は建てられません。
免税点
固定資産税には免税点があり、課税標準額が一定の基準以下なら非課税となります。免税点は、土地は30万円未満、建物は20万円未満です。ただし、同じ市区町村に複数の固定資産をもっている場合、それぞれの固定資産の課税標準額を合算する必要があります。それぞれの課税標準額が基準を下回っていても、合計が高額になれば課税対象となります。
土地の固定資産税における注意点とは
土地の固定資産税については、いくつかの注意点があります。以下で具体的な内容を解説します。
建物を解体すると固定資産税は上がる
土地にもともと建物があった場合、解体すると住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税も上がります。どうしても建物を解体する必要があるなら、1月2日以降にしましょう。固定資産税は、毎年1月1日時点の固定資産の状況をもとに課税されるからです。1月1日に建物が建っていれば、その後建物を解体しても1年間は住宅用地の特例の対象になります。
特定空き家に認定されると固定資産税は上がる
特定空き家とは、空き家のなかでも危険性が高い物件や景観を損なう物件などを、自治体が認定した空き家です。所有している建物が特定空き家に認定された場合、通常よりも固定資産税が高くなります。それだけでなく、罰金や差し押さえなどの対象になる可能性もあります。放置している空き家があるなら、可能な限り早めに対処方法を検討しましょう。
支払いを滞納すると延滞金が発生する
固定資産税は毎年かかり、納税期限も定められています。期限のうちに納税しないと延滞金が発生するため、注意が必要です。場合によっては、数万円から数十万円も余計に支払わなければならない恐れもあります。納税を怠ったままにしていれば、やがて差し押さえに至る可能性もあるため、忘れずに納税しましょう。
まとめ
土地のみを所有している場合、建物が建っている土地よりも固定資産税が高めになります。固定資産税の負担を軽くするには、さまざまな対策があります。ただし、今後も利用する予定がないなら、売却も選択肢の1つです。
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