家の購入時に住宅ローン控除を適用するには?計算方法や手続き方法などを解説

個人が住宅ローンを利用すると、住宅ローン控除による節税ができます。住宅ローン控除は、所得税の控除を受けられる制度です。この記事では、家の種類によって異なる住宅ローン控除の適用条件を解説します。住宅ローン控除の計算方法、住宅ローン控除を受けるための手続き、改正後の住宅ローン控除のメリット・デメリットについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン控除とは

そもそも住宅ローン控除とは、具体的にどのような制度なのでしょうか。以下で詳しく解説します。

住宅ローンを借りた人が利用できる制度

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを借りると税金が差し引かれる制度です。正式名称は「住宅借入金等特別控除」であり、住宅ローン減税と呼ばれる場合もあります。基本的に控除の対象は所得税ですが、所得税から控除しきれなければ翌年度の住民税からも控除されます。

利用するには一定の条件がある

住宅ローンを利用すれば必ず住宅ローン控除を受けられるわけではなく、利用するには一定の条件を満たす必要があります。条件は住宅の種類によっても異なりますが、どの種類の住宅にも共通する基本的な条件を挙げると以下のとおりです。

  • 10年以上の返済期間がある
  • 自ら居住している
  • 床面積が50㎡以上ある
  • 居住用割合が1/2以上である
  • 合計所得金額が2,000万円以下である

※参考:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

2022年に一部内容が変更された

2022年に税制改正が行われ、住宅ローン控除についても内容が部分的に変更されました。まず、一定の省エネ基準を満たす住宅が優遇されています。また、控除率が1.0%から0.7%、控除期間は10年から13年に変更されています。なお、2022年以前から適用を受けていた場合、変更前の控除率や条件がそのまま適用され続けます。

※参考:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

家の種類ごとの住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除の適用条件は、家の種類によっても異なります。ここでは、種類ごとの適用条件を解説します。

新築住宅

新築住宅に対して住宅ローン控除を適用できる条件は、以下のとおりです。

  • 住宅の引き渡し日または工事の完了日から6か月以内に自ら居住する
  • 控除を適用する年の所得金額が合計で2,000万円以下
  • 床面積が50㎡以上あり、居住用割合が1/2以上
  • 住宅ローンの残りが10年以上
  • 居住を始めた年とその前後2年ずつの計5年間に、各種特例の適用を受けていない

※参考:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

中古住宅

中古住宅に対して住宅ローン控除を適用できる条件は以下のとおりです。

  • 建築された時期が1982年1月1日以降である
  • 現行の耐震基準に適合している

1981年以前の中古住宅についても、適切な手続きをすれば住宅ローン控除を受けられる可能性があります。具体的には、耐震基準を示す耐震基準適合証明書などの書類を提出する必要があります。

※参考:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

買取再販

買取再販の場合、新築住宅に対する住宅ローンの適用条件に加えて、以下の条件も満たす必要があります。

  • 宅地建物取引業者から取得した住宅である
  • 宅地建物取引業者の住宅取得からリフォームの実施や再度販売までの期間が2年以内である
  • 新築した日から10年以上経っている住宅を購入した
  • 建物価格に対するリフォームの工事費用が20%以上を占めている
  • 各種条件を満たすための大規模修繕や耐震基準への適合工事などが行われている

※参考:No.1211-2 買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

リフォーム・増築

リフォーム・増築についても、新築住宅の適用条件に加えて、以下のいずれかを満たしていることが求められます。

  • 増築、改築、建築基準法で規定している大規模な修繕または模様替えに該当する
  • マンションの専有部分の床、階段、壁の半分以上について一定の修繕や模様替えを行っている
  • 家屋・マンションの専有部分について、リビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関、廊下の一室の床または壁の全部に対する修繕や模様替えを行っている
  • 現行の耐震基準に適合するための工事をしている
  • 一定のバリアフリー改修工事をしている
  • 一定の省エネ改修工事をしている

※参考:No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除の金額は、「年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%」で算出できます。ただし、年末時点の住宅ローン残高で上限額を超えた分については、控除を受けられません。たとえば、計算上28万円の控除が受けられるとしても、上限が21万円なら実際に控除を受けられる金額は21万円です。

住宅ローン控除を受けるための手続き方法

住宅ローン控除を受けるには、手続きが必要です。1年目と2年目以降で必要な手続きが異なるため、以下で解説します。

1年目

住宅ローン控除の適用を受ける1年目は、確定申告をする必要があります。確定申告とは、税金の過不足を申請し、清算するための手続きです。1年間の所得や税金を計算し、翌年の2月16日~3月15日に税務署へ申告します。1年目はすべての人が必ず自分で確定申告をしなければならないため、忘れずに対応しましょう。

2年目以降

2年目以降も、住宅ローン控除を受けるには手続きが必要です。ただし、働き方によって手続きの方法は異なります。雇用されている場合、年末調整の際に住宅ローン控除の手続きが可能です。一方、フリーランスや個人事業主などは、1年目と同様に確定申告で手続きする必要があります。

住宅ローン控除を受ける際の注意点

住宅ローン控除を受けるうえでは、気をつけたいことがあります。具体的な注意点について解説します。

所得税と住民税で税額控除の形式は異なる

住宅ローン控除の対象は所得税が基本です。確定申告や年末調整で手続きすると、指定した口座に還付金が振り込まれます。ただし、すでに触れたとおり、住民税からも控除される場合があります。その場合、翌年の住民税の所得割から控除分が減額される仕組みです。

ふるさと納税の手続き方法によって税額が変わる

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるものの、納税額から控除されるため、納税額以上は利用できません。たとえば、ふるさと納税ワンストップ特例制度で手続きすれば、ふるさと納税の金額はすべて住民税から控除されます。

しかし、確定申告で手続きすると、所得税額からも一部控除されます。ふるさと納税をすると所得税額が減り、住宅ローン控除の対象となる所得税額も減少するため、注意しましょう。

他の特例と併用できない可能性がある

条件を満たしていても、他の特例との兼ね合いにより住宅ローン控除を受けられないケースもあります。たとえば、特定居住用財産の買換え特例や3,000万円特別控除などは、住宅ローン控除と併用できません。これらの制度を適用するなら住宅ローン控除は利用できなくなるため、注意が必要です。

手続きを忘れたら還付申告で対応する

すでに触れたとおり、住宅ローン控除を受けるには毎年手続きが必要です。ただし、確定申告や年末調整などで住宅ローン控除の申請を忘れても、還付申告すれば控除を受けられます。住宅ローン控除を受ける住宅に入居した年を基準とし、翌年1月1日から5年間は還付申告ができます。

改正後の住宅ローン控除のメリット

改正後の住宅ローン控除には、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

控除期間が10年から13年に延長する

法改正により、新築の住宅を取得する場合、住宅ローン控除による控除期間は10年から13年に延長されました。ただし、中古住宅の取得に対する控除期間は10年のまま変わっていません。

住宅タイプで借入限度額が変わる

住宅ローン控除の対象となる借入限度額は、住宅タイプによって4段階に分けられました。基本的に、性能の高い住宅ほど借入限度額も大きくなり、優遇されるようになっています。

2025年まで入居時期が延長する

住宅ローン控除を受けられる入居時期は、最長で2022年12月末まででした。しかし、2022年の改正により、住宅ローン控除を受けられる入居時期は2025年12月末まで延長されています。

改正後の住宅ローン控除のデメリット

改正後の住宅ローン控除には、デメリットもあります。以下で詳しく解説します。

所得制限が引き下がった

従来、住宅ローン控除の対象になる年間の合計所得は3,000万円以下でした。しかし、改正を受けて合計所得が2,000万円以下に変更となり、対象者が絞られています。

控除率が1%から0.7%になった

住宅ローン控除の控除率は、改正により1%から0.7%に引き下げられています。たとえば、従来は13年特例で最大480万円の控除を受けられた場合、改正により控除額が273万円になります。

住民税からの控除額上限が引き下がった

住宅ローン控除について所得税だけで控除しきれない場合は、住民税からも控除されます。従来、控除の上限は「前年度課税所得 × 7%」で計算され、最大13万6,500円まででした。しかし、改正後は「前年度課税所得 × 5%」となり、最大9万7,500円までしか控除を受けられません。

分類がその他の住宅だと対象外になる

分類が「その他の住宅」に2024~2025年に入居するなら、2023年までに新築の建築確認を受けないと住宅ローン控除を適用できません。そのため、2024年以降に新築の住宅を購入する場合、実質的には一定の省エネ性能基準を満たさなければ、住宅ローン控除を利用できなくなっています。

まとめ

家を購入する際は、一定の条件を満たすと住宅ローン控除の適用を受けられます。住宅の種類によって条件は異なるうえに、法改正により内容も変化しているため、よく確認したうえで利用を検討することが大切です。また、住宅ローン控除の適用を受けるには毎年手続きが必要です。忘れずに対応しましょう。

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